自主勉強会
2010年10月7日大野原 大野原で勉強会を開きました。六名参加でした。(強引に誘ったかも・・)このところ研修会は色々ありますが、身近で具体的な問題解決の勉強会があってもいいのではないかと思い、始めました。また、持ち回りで何か調べて発表するという形にすると、より自己研鑽になろうかと思います。 一回目の一つ目は「脳内セロトニントランスポーターの占有率がPETでわかるのはなぜ?」ということです。新しいSNRIであるサインバルタの説明にきてくれたMRさんがサインバルタは80%のセロトニントランスポーター占有率をもっているから効果があると言われたのです。これはPETを使って定量できたとも。PETの原理さえ知らなかった私は、おおまかに調べた今もすっきりしているわけではないのですが、また、聞いてもらった人達に正確に伝えれているかどうかもあやふやなのですが、皆にも興味を持ってもらうきっかけになったということで勘弁してもらいたいと思います。二つ目はお年寄りに多い腰部脊柱管狭さく症の話で、血流をよくするオパルモン、プロレナールがなぜ効果があるのか、という話から始まりました。説明を聞いてすっきりしたという感じです。なにしろ初めてで不十分なことも多いので、これらの課題についてご助言がありましたらどんどんお寄せ下さい。よろしくお願いします。今後、一人二人が調べて発表するという形を中心に、普段から不思議に思っていることや、こんなことを発見したなど、ワイワイガヤガヤした会を続けていきたいと思っています。 |
第二回ワイワイガヤガヤの発表者です。・・・第二回は学生さんもいたのでとっても、とーっても緊張しました((+_+))。間違ったこと言ったらダメだと自分にプレッシャーをかけ、普段見ないような薬理の本を引っ張り出して悶々とする夜★☆★〜。復習も兼ねてお勉強(*^_^*)今思えば楽しんでた?カモしれません。テーマのきっかけは男性ホルモンを抑える注射を受けている前立腺がんの患者さん。男性ホルモンを抑えると骨量が減少するってなぜ? わかっているようで説明できないことをこの会をきっかけに調べたのでありました・・・。ほんの少しだけ説明すると… 男性ホルモンと女性ホルモンは、なんとなく反対みたいなイメージだけど、実はつながっていて、どちらも骨にとってはとっても大事!!!ってこと。です。知識を共有できるのは楽しいです?またお会いしましょう(^.^)/~~~ 2010年11月18日、三豊で開かれました。今回は実習学生さん2名を含む11名の参加になりました。 発表者は前回同様2名。前回より準備万端でレベルアップされたものでした。演題は「ステロイドホルモン、男性ホルモン、女性ホルモンの骨への作用」「ザイザル錠5rについて」前者はかなり練られたもので、性ホルモンの苦手な私にはスムーズに入ってこない部分があったので、もう一度見直して質問させてもらおうと思っています。 後者は、ザイザル錠自体についてより、光学異性体の部分に言及し、R体、S体とは、d体、l(エル)体との違いは?トランス、シスというのもあった・・と学生時代の有機化学の時間を思い出させるものでした。 そのあとARBの臓器保護作用についてとか、尿酸はどこでできる?とかARBの中でもニューロタンにのみ尿酸を抑える作用があるのは?などガヤガヤと時間はあっという間に過ぎ、会は終わりました |
2011年3月3日、桃の節句の日、西香川で開かれました。 今回は初めての参加3名を含む11名。 テーマは「不整脈」 私にとってここの分野は理解しがたく、避けてすませていましたが、今回の話はその鉄の扉を開いてくれたという感じでした。演者のMさんはかなり勉強されたようで、伝えようと思っていたことがうまく伝えられなっかたし、1回じゃあ到底無理と言っていました。 2回目、3回目とお願いしましょう。 プラザキサの話をメーカーさんから聞けたことはグットタイミングでした。ありがとうございました。 次は5月連休前後に浜田で開かれる予定です。 |
2011年7月28日、浜田で開かれました。 今回は実習学生さんを含む9名の参加。発表者は3名。初めに、美容にとても関心のあるTさん。 肝斑の改善薬として売られているトランシーノの薬理的解析。次は元微生物の先生だったKさん。 鼻の中に生息するMRSAの薬を使わない退治法。 最後はフレッシュで研究熱心なMさん。 心不全の病態説明から、βブロッカーのISAについて。 今回はとてもバラエティに富んだ内容となり面白かったです。 詳しくはそれぞれ発表者の報告を楽しみにしてください。 |
2011年11月17日(木曜日)三豊にて開かれました。 参加者は実習中の学生さんを含む10名。発表者は2名。 まず一人目はY.H.さん。薬物相互作用を、CYPの作用で考えるものでした。 個々の遺伝子型の違いによって、副作用の出方も違うという話しもあり、もっと突き詰めて薬と向き合うことも薬剤師の役目だろうということを考えさせられました。詳しくはご本人からの報告をお待ち下さい。 二人目は私。先日参加した「みとよ糖尿病療養指導研修会」の中で興味深かったものを主に報告しました。後でまとめるつもりです。 |
発表者 ひまわり春日店の2名 |
@リュウマチ治療薬(生物学的製剤) について Aイコサペント酸エチル/アラキドン酸 について |
生物学的製剤は最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、関節リウマチに対しては 2003年から国内での使用が開始されています。 有効性にかなりの期待ができる薬剤で、リウマトレックスを中心とする治療でコントロールが出来ない場合、出来るだけ早期に生物学的製剤を導入して関節破壊を防ぐという治療指針国際的にも広く受け入れられています。
@ レミケード 「レミケード」はTNFαという炎症反応に関与する生体内物質の働きを抗体によって抑える抗体製剤です。TNFα は関リウマチでは異常に増加しており、炎症の場で中心的に働いていると考えられています。 「レミケード」は結合する部位がマウス由来の蛋白質、その他がヒト由来の蛋白で、遺伝子工学によって 2 種の蛋白を合体させたもので、関節リウマチ治療薬としては日本で初めて認可された生物学的製剤です。 約 2 時間かけて点滴注射で投与し、初回、2週後、その4週後に投与した後 通常、8週間ごとの投与となります2か月に一度という投与間隔の長さは生物学的製剤の中で最長です。「レミケード」の特徴の一つには速効性にもあり、投与開始6週後には非常に高い割合で強い症状改善効果が確認できます。場合によっては初回投与の直後から効果を実感出来る場合もあるようです。またレミケード投与により寛解を持続できた患者さんの約半数で、レミケードを中断しでも寛解状態を維持できたという報告もあり、投与を止められる可能性が証明されている生物学的製剤です。 「レミケード」は、中和抗体(レミケードに対する抗体)が出現することがあり、それにより効果が減弱することがあります。「レミケード 」の投与にはリウマトレツクスの併用が必要ですが、これは中和抗体をできにくくするためです。「レミケード」は生物学的製剤の中で最も継続率が低いとする報告が多いのですが、この中和抗体の存在による効果減弱の影響が大きいと考えられています。ただし2009年に増量と、投与間隔の短縮が可能となってからは効果減弱する割合は減っているようです。またマウス由来の蛋白を含むため、アレルギー反応がおこることがあり、非常に稀ですがアナフィラキシーも起こりえます。 A エンブレル 「エンブレル」は 1998 年に米国において世界で初めて認可された生物学的製剤です。国内では 2005 年から使用開始されています。 TNF 受容体とヒト免疫グロプリンの一部を結合させた製剤で、完全ヒト型製剤(マウスなどの異種タン パクを含まない)のため、リウマトレックスの併用は必須ではありません。しかし他の生物学的製剤同様にリウマトレックスを併用したほうが有効性が高まることが確認されています。また完全ヒト型製剤のためアナフィラキシーはほとんどありませんが、注射部位反応などのアレルギー反応がみられることがあります。 「エンブレル」もTNFαの働きを抑えますが、先の二つが抗体製剤であるのに対し、「エンブレル」は受容体製剤であり、TNFとの結合の仕方に違いがあります。この違いにより他のTNF阻害薬に比べて、結核や悪性リンパ臆などの発症リスクが低い可能性が報告されています。 「エンブレル」は、体内で薬剤の血中濃度が半減するまでの時聞が約4日と生物学的製剤の中で最も短いため、他の生物学的製剤に比べ投与間隔が短いという欠点がありますが、これにより逆に副作用が発現した際にはもっとも対処しやすいということも言えます。 投与方法は皮下注射で、一定の条件を満たす方は在宅自己注射が可能です。週2回、または 週1回投与します。標準使用量の半量である週 25mgから開始して効果が弱い場合に増量したり、週50mgの投与によって寛解が得られた場合に用量を半減するなど用量調節が可能です。 B ヒュムラ 「ヒュミラ」は米国で 2002 年に、国内では2008 年に承認され、世界80 カ国で約37万人の患者さんに投与されています。 TNFα阻害薬としては「レミケ一ド」、「エンブレル」に次いでの生物学的製剤で、「レミケード」同様に抗体によってTNFαの働きを阻害します。「レミケード」の投与方法が点滴であるのに対し、「ヒュミラ」は皮下注射により投与でき(一定の条件を満たす方は在宅自己注射が可能です)、また「エンブレル」が週1〜2 回の投与が必要なのに対し、2週に1回の投与で済むため、投与方法が簡便であることが特徴に上げられます。抗体製剤である「レミケード」と異なり、完全ヒト型抗体のため、中和抗体が出来にいとされ、リウマトレツクスの併用は必須ではありません。しかし他の生物学的製剤と同様にリウマトレックスを併用したほうが有効性が高まると報告されており、また実際には日本人では中和抗体が少なからず出現することも報告されているため、可能であればリウマトレツクスの併用を推奨しています。 Cアクテムラ 「アクテムラ」は日本で開発された唯一の国産生物学的製剤です。 他の生物学的製剤とは異なり、インターロイキン 6というサイトカインの働きを抑える「抗ヒトインターロイキン 6モノクローナル抗体製剤」です。IL 6は炎症に関与するサイト力インで関節リウマチでは体内で過剰に作られ、炎症に由来する様々な症状を引き起こしています。 IL-6の受容体をブロックすることで炎症に由来する様々な症状を抑え、関節破壊の進行を抑制します。 効果には個人差がありますが、現在までの経験ではほとんどの患者さんで一定以上の効果が認められています。 「アクテムラ」 は他の生物学的製剤同様に免疫機能を抑制させることで炎症を抑える効果を発揮するため、感染症にかかりやすくなることがあります。通常、感染症にかかると発熱や血液検査て、炎症マーカー(CRPや血沈などの炎症を評価する指標)が上昇しますが、「アクテムラ」は炎症を強力に抑制するため、炎症がわかりにくく重症化しやすい傾向にあります。 「オレンシア」は 2010 年 9 月に国内発売がはじまった生物学的製剤です。「オレンシア」は免疫をつかさどる Tリンパ球(T細胞)の働きを抑えることで、INFαやIL6などの炎症反応に関与する生体内物質(サイトカイン)の過剰な産生を抑え、関節の痛みや腫れを和らげます。他の生物学製剤がサイトカインの働きを抑えるのに対し、「オレンシア」はその上流に位置する T細胞の活性化を直接抑制するため、関節リウマチという病気をより根本に近い段階から抑えることができる可能性が示唆されています。 日本人の関節リウマチ患者さんに 6ヶ月間「オレンシア」を投与した調査では、およそ9割の方で一定以上の効果がみられ、4 割の方で非常に良好な効果がえられています。ただし効果の発現はやや遅い印象があります。個人差がありますが、1ヶ月程度で効果が現れる場合もあれば、3-4ヶ月経ってから効果が現れることもあります。 「オレンシア」は約30分かけて点滴注射で投与します。初回、2週後、初回投与の4週後に投与した後、4週間ごとに投与します。
E シンポニー 「シンポニー」は欧米で 2009 年に承認された最新の生物学的製剤です。「レミケ一ド」、「エンブレル」、「ヒユミラ」に次ぐ 4剤目の生物学的製剤で、「レミケード」や「ヒユミラ」同様に抗体によって TNFαの働きを阻害します。皮下注射により投与でき、また「エンブレル」が週1-2回、「ヒュミラ」が 2週にl回の投与が必要なのに対し、4週に1回の投与で済むため、TNFα阻害薬の中では投与方法がもっとも簡便であることが特徴に上げられます。 投与量の変更が可能なのもこの製剤の大きな特徴の一つです。状態に応じて標準用量の倍量である1回100mgに増量して使用することが可能です。同じ抗体製剤である「ヒュミラ」同様にヒト型抗体のため、中和抗体が出来にくいとされ、リウマトレツクスの併用は必須ではありません。しかし他の生物学的製剤と同様にリウマトレックスを併用したほうが有効性が高まるため、可能な限りリウマトレックスの併用が推奨されています。 |
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右記参照下さい。生物学的製剤について|免疫疾患の診療 | |
動脈硬化の指標 EPA/AA比についてEPA/AA比 は、血液中の脂肪酸の エイコサペンタエン酸(EPA)と アラキドン酸(AA)の割合を示しています。EPA は動脈硬化を抑制しますが、 AA は炎症を引き起こし、動脈硬化を促進するように働きます。 動脈硬化性疾患の患者では、この EPA/AA比 が低いことが報告されています。 急性心筋梗塞(AMI)では、冠動脈粥状硬化症の進展と不安定プラークの破裂が重要なプロセスとなります。AMI患者を対象に、血液中の脂肪酸と冠動脈プラーク、石灰化の関連について検討した研究(三豊スタディ)で AMI 患者における血中の EPA 濃度は有意に低く、血中 EPA/AA比 は有意に低いという結果が得られています。また、AMI患者において血中 EPA/AA比 と冠動脈プラークに相関関係があることが示唆され、血中のEPA濃度が低いと、動脈硬化が進展していることが推定されます。 エイコサペンタエン酸(EPA:Eicosa Pentaenoic Acid)は、魚類、海藻類、プランクトンなどに多く含まれる不飽和脂肪酸です。食事から毎日継続して一定量摂取することは難しく、EPA製剤を一次予防として使用する場合も多いようです。 |
第7回 2012年 5月17日
参加者は実習中の学生さんを含む11名。発表者は2名。
一人目昨年発売されたC型肝炎の治療薬テラビックの飲み方から始まり、その病態全般について。
二人目は,むくみとは?むくみの原因となる薬剤の症例検討をもう一歩進めて、抗血栓薬のプラビックスまで
浮腫み むくみとは 血液中の水分が必要以上に血管の外にしみだし、皮膚と皮下組織内に溜まる状態。 血液の一部は毛細血管から組織の中にしみだして戻らない。この余分な液体はリンパ管を通して集められリンパ液となり、再び血液の中に回収される。(一日3〜4L)これが十分に回収されないと、むくみが起こる。リンパ液の成分は血しょうとほぼ同じ。タンパク質の量が少し少なく、白血球の一種であるリンパ球が含まれてる。リンパ管には心臓のようなポンプがない。所々に逆流を抑える弁があり、呼吸や筋肉の運動などわずかな外的力によって体の中心へと送られる。血管は、動脈と静脈が毛細血管でつながり輪になっているので始まりも終わりもないが、リンパ管は、手足の先にある先の閉じた細い管がリンパ管のはじまりで、次第に集まって大静脈につながる。リンパが腫れるというのはリンパ節が腫れる事。リンパ節はろ過器の役目をしておりリンパ管の中に入った細菌や異物をとらえる。その時、細菌と戦って炎症を起こし腫れる。直径1mm〜1cmで全身に5〜600ある。足の付け根やわきの下、首にリンパ節が集まっているのでよく腫れる。 原因 1 立ち仕事や長時間の同じ姿勢長時間同じ姿勢だと心臓から遠い位置にある足は、重力の影響を 受けて、 血管から血液中の水分がしみ出し易くなり、血管内に水分が戻りにくくなる為、むくみを起こ す。女性の場合 、筋肉量が少ないためポンプ作用が弱くなり、血液、リンパ液の流れが悪くなるのでむくみを起こしやすい。 2 水分、塩分の取りすぎ水分や塩分を取りすぎると、血液中の水分が増えて外にしみ出し易くなる為に、むく みを起こすアルコールは血管の透過性を高めるので、同様にむくみを引き起こす。 3 ストレス ストレスで自律神経が乱れると、血行が悪くなりむくみを引き起こす。夕方になるとむくみが出る 事が多い。利尿剤で改善。 4 冷え ストレス同様、血行が悪くなりむくみを起こす 5 むくみを起こす疾患 @ 更年期障害エストロゲンの急激な減少により、自律神経のバランスが乱れ、ほてりやイライラ 等の症状とともにむくみを起こす。心配のないむくみです。 A 妊娠中毒症 高血圧、タンパク尿とともにむくみが起こる。胎児の発育障害や、脳出血を起こす事があり、母 子ともに危険な状態を起こすこともある、もともと、高血圧や糖尿病だと起きやすい。 B リンパ水種手足のリンパ管が詰まり、リンパ液が外にしみ出す為にむくみが起こる。生まれつきリンパ管の 数が少なくて発症する場合もあるが、多くはがん治療等でリンパ管や、リンパ節を切除したり放射線を照射し たことで、リンパの流れに異常をきたして発症する。片方の足がむくむ。次第に皮膚が固くなり、象皮症(皮膚 が象の様に固くなる)に発展する場合もある。 C 甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモンの分泌が少ないと、代謝が悪くなり、体温低下、皮膚のかさつき、汗 をかきにくくなることで、むくみを起こす。普通、むくみは指で押すと凹んだままになるが、甲状腺機能低下症 でのむくみは指で押しても凹まないのが特徴。(ムコ多糖類という物質が皮下にたまるから) D 急性糸球体腎炎 溶連菌(90%以上)の感染がきっかけで、糸球体が急性の炎症を起こし、血液の濾過 ができなくなり、尿量が減ってむくみを起こす。炎症で傷ついた糸球体からタンパク、赤血球、白血球がもれ でて、タンパク尿や血尿がでる。子供に多くみられ、風邪、扁桃炎等の感染症を起こした1〜3週後に突然発 症する。子供は半月〜1か月で治るが、大人の場合、半数近くが慢性腎不全に移行する為やっかい。高血圧、だるさとともに、顔面、特に目の周りにむくみが起こる。 E ネフローゼ症候群 糸球体の異常で、血液中のタンパク質が尿の中に沢山出てしまう疾患。タンパク質は 血管の外にある水分を引き込む作用があるので、不足するとむくみが起こる。最初は、まぶた、顔、足がむく み、進行するとダルサとともに、全身に広がる。皮膚が青白くなるのが特徴。 F 肝臓病 肝機能がおちると、アルブミンというタンパク質が十分に作られなくなる。アルブミンは血液中のタ ンパク質の5〜6割を占める。そうすると、ネフローゼ同様に下肢のむくみと腹水がたまる。 G 下肢静脈瘤 血液の逆流を防ぐための弁が壊れ、静脈の血液が逆流して足にたまりむくみを起こす。見た 目に分かりやすく、片側の足の血管が膨れ上がって瘤のようになり、クネクネと蛇行する。むくみ以外に、だ るさ、痛み、かゆみや足のつり、疲れを伴う。 H 心不全 静脈の血液を心臓に戻す力が低下する為、血液が手や足で滞り、血液中の水分が血管の外にし み出してむくみが起こる。腎臓の血流量が減る為、尿量もへり体全体に水分がたまって体重が増える。特に 足の甲やすねがむくむが、悪化するとお腹に水がたまったり、全身にむくみが広がる。心筋梗塞でおこる心不 全を、急性心不全高血圧、心臓弁膜症などが原因で、徐々に起こる心不全を、うっ血性心不全。 6 むくみを起こす薬 @ グリチルリチンアルドステロンと似た作用。Naの尿への排出が抑えられ、Kの排泄が促進される為、むくみが 起こる。偽アルドステロン症 A NSAID PG合成阻害。PGの働き。輸入細動脈を広げ腎血流量、糸球体濾過率を上げる。尿細管でのN a、水の再吸収抑制。抗利尿ホルモン(バソプレシン)拮抗。 B 降圧薬 ACE阻害薬、ARB〜血管拡張作用で、末梢血管の抵抗が減るため血管浮腫を起こす。 血管浮 腫はまぶた、ほほが腫れる。Ca拮抗薬〜末梢の静脈よりも動脈の方に強く血管拡張作用が働くので、静脈 と動脈の間がアンバランスとなり、むくみを起こす。(毛細血管圧が上がり、血液の流れが悪くなり、血漿成分 が血管外に漏れだしてむくみとなる)β遮断薬〜飲み始めの時期、心不全の悪化をおこし、むくみが出る。 Cホルモン剤 副腎皮質ホルモン〜腎臓に作用してむくみを起こす。エストロゲン剤〜Naを細胞内に増やす為 、むくみを起こす。 D 糖尿病薬 インスリン〜長期間、血糖コントロールが悪い患者が、インスリンで急激に血糖を下げるとむくみを起こ す。アクトス〜抗利尿ホルモンの働きを強め、尿量を減らしてしまう為、むくみを起こす。 |
症例検討 @NSAID、漢方でのむくみ。 アルドステロンと似た作用。Naの尿への排出が抑えられ、Kの排泄が促進される為、むくみが起こる。 偽アルドステロン症 PG合成阻害。PGの働き。輸入細動脈を広げ腎血流量、糸球体濾過率を上げる。 尿細管でのNa、水の再吸収抑制。抗利尿ホルモン(バソプレシン)拮抗。添付文書より、むくみの頻度比較ボルタレン、モーッビク0,1〜5%。せレコックス、ロキソニン0,1〜1%。ソランタール0,1%未満。アセトアミノフェン頻度不明。医師に提案するなら、PGを介さない塩基性消炎鎮痛薬のソランタールか、作用が弱いがアセトアミノフェン Aリリカでのむくみ。トラムセットは?リリカ〜中枢神経系でCaチャネルに働き、Ca流入を抑制し、グルタミン等の神経伝達物質遊離を抑制。 静的、動的、抗アロディニア作用。(アロディニア〜刺激に対して感じる痛み) うっ血性心不全の患者には慎重投与。 副作用 心不全 0,3%未満(特に心血管障害の患者) 血管浮腫 頻度不明浮腫、体重増加 1%以上血管浮腫〜皮膚、皮下、粘膜下組織に生じる血管反応で、毛細血管の拡張、透過性亢進によってできる局所性の浮腫。唇、まぶた、舌、のどが急に腫れる。トラムセット〜重篤な心機能不全の患者には禁忌(心不全悪化) 心機能異常の患者は慎重投与ジゴキシンと併用注意(ジゴキシン中毒をおこす) 浮腫の副作用 1%以上5%未満リリカ以上に、トラムセットはむくみが出やすく、心臓への負担も大きい。 B Ca拮抗薬の副作用。ラシックスが追加されてるから副作用ではない?Ca拮抗薬〜末梢の静脈よりも動脈の方に強く血管拡張作用が働くので、静脈と動脈の間が アンバランスとなり、むくみを起こす。(毛細血管圧が上がり、血液の流れが悪くなり、血漿成分が血管外に漏れだしてむくみとなる)全身の体液量が増えて起こるむくみで無い為、利尿剤が効きにくい。 局所性が多い。足の甲、くるぶし等、下腿性浮腫が多く、まぶた、手指に出る事もある。(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬はむくみはおこしにくい。ワソラン、ヘルベッサー)アテレックは従来のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬と違い、L型N型両CaチャネルをブロックDual Actionタイプ。L型Caチャネルは、血管平滑筋に存在し、それをブロックする事で、血管収縮を抑制。N型Caチャネルは、交感神経終末に存在し、それをブロックする事で、ノルアドレナリンの過剰放出を抑制する。β1受容体での心拍数増加を抑制。 α1受容体での血管収縮、腎血流量低下を抑制。腎臓の輸入細動脈だけでなく、輸出細静脈も拡張するアダラート、アテレック、コニール、ニバジール 0,1〜5%未満ノルバスク 0,1〜1%未満カルブロック、ヘルベッサーR 0,1%未満添付文書上では、差がないがノルバスクからアテレックへの変更でむくみが有意に改善したというデータ有(モチダ)浮腫を起こさないようにと開発したわけではないので、なぜ低い数値になったかは分からない(第一三共) C プラビックスは何のために飲んでるか? 効能効果 1 虚血性脳血管障害(心原性脳梗塞を除く)後の再発抑制 2 経皮的動脈形成術(PCI)が適応される急性冠症候群カテーテル、ステント留置術使用上の注意 PCIが適応される急性冠症候群の場合、、、アスピリンと併用する事。 患者に確認するべき事 脳梗塞の既往がないか?ステントしたかどうか?脳梗塞既往なく、ステント後の血栓予防でプラビックスが処方されてるのであればアスピリン処方なくてもいいか問い合わせるべき患者に伝えるべき事〜プラビックスの副作用 基本的な注意 重大な副作用が発現する事があるので、投与開始2か月間は2週間に1度程度の血液検査を実施することが望ましい。血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)〜悪心、発熱、だるさ、食欲不振、出血傾向無顆粒球症〜発熱、悪寒、咽頭痛肝障害〜発熱、だるさこのような副作用が出てないか、経過注意しておく。 Dプラビックスの副作用が出た場合は?ワーファリンに変える?効能効果1 脳梗塞予防で処方されていた場合。プラビックス(抗血小板薬)が処方→白色血栓が関わる脳梗塞の予防白色血栓は主に動脈の傷ついた血管壁や、動脈硬化等で血管壁が粗面になっている所にできる。そこに血小板が集まり凝集し、さらに、そこにフィブリンがからみついていくと、より完璧な血栓になる。動脈は血流速度が速く、フィブリンを形成する凝固因子は流されて、結果、血小板主体の血栓ができる。白色は、白血球の色ではなく血小板の色。アスピリン〜血小板を活性化するトロンボキサンA2を生成する酵素、COXを阻害ワーファリン(抗凝固薬)は赤色血栓が関わる脳梗塞を予防するから、赤色血栓は主に静脈にできる血栓。人工弁をつけている所や、心房細動を起こしている心臓内等、血流が乱れやすい所、血流が緩やかな所にできやすい。血流が遅いと、赤血球がよどみ赤血球が多く含まれる血栓になる為赤色血栓といわれる。プラビックスの効能に心原性脳梗塞は除くとあるのは、心原性脳梗塞を起こす最大の要因が心房細動で、まとまった収縮が出来ないため血液のうっ滞がおきたり、血流速度も遅くなるため、凝固因子が活性化する。ということは、抗血小板薬ではなく、抗凝固薬のワーファリン等が適応になる。 プレタールに変える?効能効果 2で処方されてたなら、変更できない。効能効果 1で処方されてたなら、OKプレタールには、血小板凝集抑制以外に、血管拡張作用もある為、ラクナ梗塞にもエビデンスがある唯一の薬。ラクナ梗塞〜細い動脈が詰まって起こる、小さな脳梗塞。日本人に多いが、今ではアテローム血栓性脳梗塞の患者も増え、同じくらい。症状が現れにくい。アテローム血栓性脳梗塞〜太い動脈の硬化で起こる脳梗塞。動脈の壁に悪玉コレステロールが入り御粥のようなドロドロした粥種を作り、血流を悪くする。高血圧等の力で粥種が破裂すると、血小板が集まり、最終的に栓をして梗塞がおきる。頭痛、動悸の副作用が高頻度で出るので少量から開始し、経過注意する。 Eラニラピッドが追加ということはラニラピッドは、弁膜症、高血圧、冠不全など、いろいろな原因でおこった心不全に有効特に、うっ血性心不全に有効。ジゴキシンにメチル基が着くことで、吸収率が上がり、患者間での吸収率のばらつきが改善。ジギタリス中毒に注意。悪心嘔吐、食欲不振、頭痛、不整脈、視覚異常 副作用発現に注意する。 同じ心不全の治療薬、β遮断薬は?心不全患者では心臓が弱っている。そこに薬によって無理やり心臓を働かせる為、余計心臓をが弱ってしまうという悪循環に陥る。Β遮断薬で心臓の働きすぎを抑えることで予後をよくするβ遮断薬は中程度の心不全の患者に適応。不安定な心不全、低血圧、むくみ除脈がひどい場合、房室ブロック、気管支喘息の患者に適応なし。β遮断薬を始める前に、ACE阻害薬、利尿薬、ジゴキシン等で症状を安定させるべき。心不全に使われるβ遮断薬の標準薬はアーチスト。他のβ遮断薬より、降圧効果、除脈化効果が弱いにも関わらず、いい成績なのは、抗酸化作用等、β遮断作用以外の働きが関与してるからと言われてる。メインテートにも抗酸化作用がある使い分けアーチスト〜心不全全症例。腎排泄。Β1選択制なし。セロケン〜冠動脈由来の心不全。肝排泄。Β1選択制あり。メインテート、テノーミン〜冠動脈由来の心不全。腎排泄。Β1選択制あり。メインテートの方がβ1選択性が高い。作用が強いので慎重に開始したい場合は、最初にアーチストやセロケンを投与し、途中から切り替える。インデラル〜甲状腺機能亢進由来の心不全。肝排泄。Β1選択制なし。動悸に対しての屯用としてよく使われる。 むくみを改善させる為に気をつける事 食べ物、運動。 |
運動して筋肉を鍛えることで、血液を送り出すポンプの働きが高まり、リンパの流れもよくなる。 |
十分に睡眠をとり、疲れをためない。 |
お風呂でリラクス&マッサージ。血行改善。 |
塩分を控える。Naは体の中に水分をため込む。 |
Kは、体の老廃物を出し、利尿作用もある。バナナ、果物、海藻、きのこ、きゅうり |
第8回 2012年6月28日(木)
@ 降圧薬について |
A DVD上映 「患者さんの信頼をつかむコミュニケーション |
第9回 2012年10月11日
@ 睡眠について |
A ジルテックを小児に投与する場合 |
睡眠障害の対応と治療
T.不眠が主訴 @ 入眠障害を示す睡眠障害 8.1% A 中途覚醒を示す睡眠障害 中高年で頻度が高い B 早朝覚醒を示す睡眠障害 7.9% U.過眠が主訴 薬剤使用の有無、身体疾患の有無、精神疾患の有無 V.睡眠時間帯の異常が主訴 体内時計を24時間に合わすことができない 社会的要請から体内時計のリズムと異なる時間に睡眠をとる W.睡眠中の異常現象が主訴 歩き回る、いびき、大声、悪夢、寝言 不眠 <不眠の訴えのとらえ方> *生活習慣、睡眠環境⇒睡眠障害対処12の指針 *身体疾患による睡眠障害 慢性の痛み(腰痛、頸椎症)、アトピー、前立腺肥大など *現在服用中の薬 睡眠薬 @ バルビツール酸系 ラボナ、イソミタール 耐性、依存性、呼吸抑制、などがありあまり使われない。 A 非バルビツール酸系 耐性、依存性あり睡眠薬として適切でない B ベンゾジアゼピン系 ハルシオン、レンドルミン、デパスなど ベンゾジアゼピン受容体(ω1、ω2)に作用 C 非ベンゾジアゾピン系 マイスリー、アモバン、ルネスタ ベンゾジアゼピンω1受容体選択的で、筋弛緩作用が弱い D メラトニン受容体作動薬 ロゼレム メラトニンMT1受容体MT2受容体に作用する弛緩作用、記憶障害、依存なし 睡眠ミニ知識 @睡眠のメカニズム *ホメオスタシス機構(恒常性維持機構) 睡眠の質、量を調節、確保 *体内時計機構 1日を24時間にリセット⇒光 A睡眠の種類 *ノンレム睡眠 深い寝息でゆったりと眠っている睡眠の深さ4段階。大脳を休める。 *レム睡眠 まぶたが開き加減で、浅く早い呼吸。筋肉の緊張を抑制し運動器を休める 90分周期で繰り返される B 睡眠の機能 1.地球の24時間の自転に合わせて、活動に適さない時間帯に無駄なエネルギーを使わない 2.脳が活動し続けてオーバーヒートしないように積極的に脳を休ませる C 睡眠と身体の機能 1. 睡眠と自律神経系 *ノンレム睡眠 副交感神経優位になり、血圧、心拍、呼吸数低下し身体を休息させる *レム睡眠 自律神経に乱れが生じ、血圧、心拍、呼吸数が不規則に変動。⇒脳梗塞、心筋梗塞を起こしやすい 2. 睡眠と内分泌機能 成長ホルモン、プロラクチン、コルチゾール、メラトニン 3. 睡眠と免疫系 ノンレム睡眠の増加はリラックスさせ、血管拡張し、体の回復を促すホルモンを増やし病気の快復促進 D 睡眠と精神機能 1. 睡眠不足と機能低下 作業能率の低下、気分がしずむ、すぐに怒り出す、不安定 2. 睡眠と記憶 学習期間中はレム睡眠が増加 レム睡眠は記憶の定着を促す @ 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分 睡眠の長い人、短い人、季節でも変化、8時間にこだわらない 歳をとると必要な睡眠時間は短くなる A 刺激物を避け、眠る前に自分なりのリラックス法 就寝前4時間のカフェインの摂取、就寝前1時間の喫煙は避ける 軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、筋弛緩トレーニング B 眠たくなってから床に就く。就寝時間にこだわりすぎない 眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くする C 同じ時刻に毎日起床早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる 日曜に遅くまで床で過ごすと、月曜の朝がつらくなる D 光の利用でよい睡眠 目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計をスイッチオン 夜は明るすぎない照明を E 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣朝食は心と体の目覚めに重要、夜食はごく軽く運動習慣は熟眠を促進 F 昼寝するなら、15時前の20〜30分 長い昼寝はかえってぼんやりのもと 夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響 G 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝、早起きに寝床で長く過ごしすぎると熟眠感が減る H 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき、むずむず感は要注意背景に睡眠の病気専門治療が必要 I 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に 支障がある場 合は専門医に相談 車の運転に注意 J 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、夜中に目覚め る原因となる K 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全一定時刻に服用し就床アルコールと併用をしない |
第10回 2013年2月14日